「地域の情報を、どこよりも濃く」人生観の棚卸しまでできる移住相談窓口の魅力

[提携]広島県

ここ最近、「地方移住」が話題になっている。

「東京は人が多くて落ち着かない」「自然に囲まれた環境でのんびり暮らしたい」

コロナ禍の影響も後押しし、住む場所の重要度が高まった結果、地方移住を視野に入れる人が増えたようだ。しかし、ふと移住を考え始めたとしても、住まいや仕事探しの方法など、分からないことが沢山ある。

そんな人たちのために用意されているのが、有楽町にある「認定NPO法人ふるさと回帰支援センター」だ。ここでは移住にまつわるさまざまな相談が気軽にできるという。

そこで、認定NPO法人ふるさと回帰支援センターで広島移住相談窓口の担当を勤める森上さんに、移住相談窓口でどのようなサポートが受けられるのかを伺った。

ひろしまライフ スタイリスト
森上 陽子さん

新卒で広島県庁に入庁し、農業の現場で普及指導員として農業技術や経営の向上を支援。2017年に移住事業の担当に異動となり、2018年に東京勤務に。ひろしま暮らしサポートセンターの窓口担当として、移住検討者の相談に乗っている

移住に関する「はじめの一歩」から、お仕事紹介まで手厚くサポート

――森上さんは、こちらで移住検討者の相談に乗られているんですよね。

はい。「認定NPO法人ふるさと回帰支援センター」内にある「ひろしま暮らしサポートセンター」で、広島県への移住を検討されている方のご相談をお受けしています。

<認定NPO法人ふるさと回帰支援センター>
有楽町の東京交通会館内にある移住相談センター。地方移住に関するパンフレットや資料を常設しており、各地域の相談員が移住を希望する方に地方移住の情報を提供している
>>https://www.furusatokaiki.net/

――この窓口には、主にどれくらいの検討度合いの方が相談にいらっしゃるのでしょうか?

漠然と地方移住を考え始めたばかりの方もいれば、移住の気持ちは固まっていて、住居や仕事について相談したいという方、動き方が分からないのでひとまず話を聞きたいという方……本当に幅広いですね。

最近は新型コロナウイルスにおける外出自粛期間で今後の人生を考えて、移住を前向きに検討し始めたので相談に来た、という方も多いですよ。

――リモートワークを継続している人も多いですし、「都心に住む必要がなくなった」といった声も聞こえてきますよね。

ええ。「働く場所にとらわれる必要がなくなったので移住を考え始めた」という方も徐々に増えてきましたね。

ただ、まだ「所属企業のリモートワークがずっと続くかは未定」という方もいらっしゃるので、今の段階では転職を伴う移住を検討されている方が圧倒的ですね。

――ではこちらに相談に来る方は、基本的には住まいから仕事まで、全て移す考えの人が多いのですね。

はい。単身の方も相談にいらっしゃりますが、結婚やお子さまが生まれたことをきっかけに動き始めたというファミリー層の方も多いですね。

もともと東京での暮らしに違和感があり、将来はもっとゆったりした生活を送りたいと以前から思っていた。ただ、ある程度の年齢になると転職が難しくなってくるため、少し早めの30~40代前後で生活基盤を全て移住先に移してしまおうと思った、という相談者さんはよくいらっしゃいます。

なのでこちらからご提案する内容も、「移住にあたり、まずどのように動き始めたらいいのか」というものから、住むエリアやお仕事のご紹介まで、非常に幅広いんですよ。

人生観を探りながら、ベストな移住後ライフスタイルを提案

――広島への移住検討者はどういった理由で広島を選ばれているのでしょうか?

やはり今のワークライフバランスに疑問を持っていて、広島への移住を検討される方が多いですね。東京は仕事をするには便利ですが、どこへ行くにも人が多いため、出かけるのが億劫になってしまうと言いますか。子供連れの方は特にですよね。

一方で、広島県は都市に住みながら瀬戸内などの自然を存分に感じられます。皆さん旅行などで訪れた時にそういった印象をお持ちになるようで、広島で、都会に近くもゆったりした暮らしを叶えたいと思われる方が多いようです。

――では、相談窓口に来られた方には具体的にどんなご案内を?

相談内容にもよりますが、大体の方が「広島に移住したい」ということは決まっていても、具体的なエリアがイメージできていない、お仕事を探す必要がある、あとは「移住先に知り合いが誰もいない」といったご不安を抱えています。

なのでそれぞれについて、状況やご希望を伺った上で動き方や探し方のご提案をしています。

暮らすエリアについては特に生活に直結しますから、これまでの人生観をヒアリングさせていただき、志向性に合わせたご提案をするように心掛けていますね。

どんなお仕事をされていたのか、どんな風に生きてこられたのか……など、さまざまな事を聞かせていただいて、今回「移住」に至った気持ちの根っこを探ると言いますか。その根っこの部分が広島移住で一番叶えたい事になると思うので、それが叶えられるような場所をご提案するようにしています。

地図を見せながら地域の特徴や雰囲気など、詳細を案内してくれる

また、お仕事については、県庁でも求人を抱えていたり、随時リサーチをしていますから、もしもご希望があればご紹介までしているんですよ。

移住先でやりたいお仕事が明確に決まっている方ばかりではないので、こちらも今までのキャリアを伺って、「こういうお仕事は興味ありますか?」といろいろ提案をした上で、反応を見ながら良さそうなものを見つけていきます。

――すごい、人生の進路相談みたいですね(笑)

そうですね(笑)。お話をしている中で、相談者さまの不安がほぐれ、表情が明るくなっていくのを見ると、こちらも嬉しくなりますよ。

あとは住まいやお仕事以上に皆さん不安を抱えていらっしゃるのが、移住した先で地域のコミュニティになじめるかどうかという点なんです。

窓口ならではの「人と人をつなげるチカラ」

――たしかに移住先に地縁があれば安心ですが、誰も知り合いがいないとなると、いざという時に心細いですよね。

はい。なのでこちらからは、ある程度希望の地域が絞れてきたら、その地域のコーディネーターさんなどをご紹介して、「交通費をご支援するので会いに行ってみてはどうですか?」とご案内をすることもあります。

また、任意団体ではあるのですが、「ゆるやかな移住者の会」というコミュニティもあったりして。ここ「ひろしま暮らしサポートセンター」を通して移住した方が任意で入られていて、たまに集まったり、お互いに情報交換をしたりもしています。実は私もメンバーなんですよね(笑)。

コミュニティ内には、「自分も移住前は不安だったし、気持ちが分かるから、もし役に立てることがあればお手伝いさせてくださいね」って仰ってくださる方が多いんですよ。なので、移住を検討している方を、そういった方々にお繋ぎすることもしています。

地域の方によるイベントなども案内している

――自分の力だけで地域のつながりをつくるのは大変そうなので、こうしたサポートが受けられるのは心強いですね。

ええ。移住予定の地域で無事仕事は決まったものの、知り合いがいないことで不安になってしまい「本当に行くべきか」と直前で立ち止まってしまう方もいらっしゃるんですよ。

でもそうした方に地域のコミュニティを紹介すると非常に安心されますし、移住後もコミュニティ内で楽しまれてたりもしていて。そういったお話を聞くと、こちらも嬉しいですよね。

――いろいろとお話を伺うと、ネットの情報収集だけで済ませるよりも、認定NPO法人ふるさと回帰支援センターの移住窓口で相談を受けることで得られる事の方が非常に大きいような気がします。

やっぱりこの窓口の強みは「相談者さまを、地域の人とつなげられること」そして、「仕事の相談ができる」ことにあると思うんです。自治体や地域コーディネーターさん、移住者さんなど、さまざまな方と幅広いジャンルで連携していますから。

具体的に移住を検討している方はもちろんですが、「将来のために知識を付けておきたい」、「どこに移住するかは決まっていないけれど、とりあえず広島のことを聞いてみたい」。そんな方々のお役にも立てるのではと思っています。