日頃の感謝と新年のご挨拶。お年賀を準備しよう。

お年賀のはじまりについて

日本には古くから新しい年の神様をお迎えして祀る習慣があります。「年神様をお迎えする」といわれていますね。そもそも年始の挨拶に訪問をする際には、その家々の年神様を祀る神棚にお供え物を持参しました。この持参した手土産を「御歳魂」と書いてかつては「おとしだま」と読んでいました。お年賀の起源はこの　“おとしだま”　のことなんですね。

現代、お正月になると親戚の子どもたちに渡す「お年玉」、名前が同じですね。
けれど、現在のお年玉のルーツは実は鏡餅のことなんです。年神様は「鏡餅」に年神様の御霊（みたま）が宿るといわれていて、その年神様の宿った餅玉を家長であるものが家族に「お年玉」として分け与えたのがはじまりといわれています。昔はお年玉といえば、お金ではなくお餅だったんですね。年神様の宿った餅玉をお雑煮でいただくことで、体に魂と取り込むのが縁起の良いお正月の習わしでした。そうして、今のように品物やお金を渡す風習が浸透しはじめたのが江戸時代。最近では神棚を祀る家も減ったこともあり“御霊”に関する価値観が日本人の中で薄れつつあるかもしれませんが、鏡餅を変わらず家で飾る意味もこれで少し理解できますよね。

お年賀を渡す時期は？誰に渡すの？

お年賀を渡す期間は「松の内まで」というのが一般的です。なんとなく聞いたことがあるようであまり知られていない 松の内 という言葉の意味をご存知でしょうか。簡単にいってしまうと、松の内の日付というのは地域ごとにちがいますが、早い地域では関東では7日から、遅い地域では15日〜20日というのが一般的です。

松の内の目安は、字のごとく　わかりやすい説明としては 鏡開きをするまでの門松のあるうち のこと。
この門松は歳神様が道に迷わずに家に来るための目印です。お正月に歳神様をお迎えして、鏡餅に御霊を鏡餅に宿らせて、松の内が過ぎた鏡開きの日にはその御霊の宿った餅を神様・仏様に感謝しながら無病息災を願うというのが習わしですね。

はじめにも書きましたが、松の内の期間は 地方により違うといわれています。京都近郊は1月4日と早いところもありますが、同じ関西でも他の地域では１月20日とするところも。
古くは20日までを松の内としたところ、4月20日が徳川家光の月命日であったことから20日を避けたことや、明暦3年に江戸で起きた大火事が1月18日〜20日、松飾りなどを燃やし江戸の市街地を焼けつくしたこともあって松の内が徐々に短くなっていったといわれています。
松の内の考えかたは地域ごとに合わせて考えるといいと思いますが、「お年賀」として渡すのであればだいた三が日のうちに。１月７日くらいまでが望ましいでしょう。過ぎるようでしたら、寒中お伺いとして渡すのがいいですね。

お年賀の渡し方は？宅配でもいいの？お歳暮もお年賀も必要？

お歳暮などは歳の暮れに郵送などで送り合うことが多いですが、お年賀に関しては宅配ではなく年始に手渡しをします。
年始挨拶ですので、直接訪問したときに渡す手土産です。挨拶の品を過度に送ると逆に失礼に当たるものですので不要ともいわれているため、近年ではお歳暮を送った場合はお年賀は敬遠されがちですが、年始は人が多く集まります。手ぶらで行くのも気が引けますので年始で先方で食事される機会を兼ねて何か持参するのもよいでしょう。

お年賀の予算はいくらくらい？どんなものをあげたらいいの？

送り合う関係性もありますが、目上の方やお仕事でお世話になっている上司のお家などには、お歳暮を送っていない場合には「年末の挨拶ができずに申し訳ありません」という意味合いを込めて改まったしなを持参すると良いでしょう。両親の元に帰省をする場合は気持ち程度の菓子折りやその年の干支にちなんだものなどを持参してもいいですね。

お年賀の予算は送り先にもよりますが2,000円〜高くても5,000円程度のものがいいでしょう。あまり高額でもお相手の気持ちがひけてしまいますのでお相手が気軽に喜んでいただけるものを選ぶことを心がけましょう。

お年賀のお返しは？

基本的には御年賀のお返しは必要ありません。

そもそも御年賀は挨拶が主体であって、目下の人が目上の方に忙しい時期に会っていただくお礼とされています。そのため、お礼にお礼を重ねるようなものですので必要が無いとされています。
しかし、何か品物を送らずともお礼の言葉を伝えると今後とも気持ちの良いおつきあいになるでしょう。

御年賀を持ってきていただいた場合

後日、早いうちにお手紙でお礼を送るというのも感じが良いものです。品物やおもてなしをすぐにできずとも季節の絵葉書などをすぐに送ってお礼をするというのは送られた方もうれしいものです。すぐに御礼ができない。品物で感謝の気持ちを表したいという場合は、蝶結びの熨斗をつけて「松の葉」「御礼」の表書きを書いて用意します。寒中見舞いをいただいた場合も同様の熨斗をつけて渡しましょう。
また、家にあがって滞在される、お食事をされるという場合なら、お屠蘇やお神酒やおせちを振る舞っておもてなしという形でお返しをしてお礼を伝えれば特にそのあと御礼の品を渡さずとも失礼にあたりません。

訪問者がお子様を連れて居た場合

お年玉をぽち袋に入れて渡してあげましょう。お菓子などもあればあげると喜んでいただけますね。

喪中の期間中のお年賀は？

先方が喪中にあたる場合は松の内の時期を外して寒中に訪問して、のし書きも「寒中見舞い」として贈るのがよいでしょう。またこちら側が喪中期間であれば先方にあらかじめ事情を話し、欠礼させていただいても失礼にあたりません。