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日本とこんなに違う!デンマークの子育てファミリーの暮らし

童話作家のアンデルセンや、レゴで有名な北欧の小さな国デンマーク。 デンマーク人の夫と、3人の子供たちと8年前にデンマークに移住してきた筆者が、実際に経験してみた日本とデンマークの育児の違いや、日本で子育て中の人にも参考になりそうなデンマーク流の子育て術について、今回ご紹介したいと思います。 デンマークでの妊娠 長男、次男の幼少期まで日本で暮らし、その後、デンマークに移住し、長女を出産したのですが、出産からして、日本とデンマークは大きく違っていました。 日本では、妊娠中の検診時から、体重管理など、…

童話作家のアンデルセンや、レゴで有名な北欧の小さな国デンマーク。
デンマーク人の夫と、3人の子供たちと8年前にデンマークに移住してきた筆者が、実際に経験してみた日本とデンマークの育児の違いや、日本で子育て中の人にも参考になりそうなデンマーク流の子育て術について、今回ご紹介したいと思います。

デンマークでの妊娠

長男、次男の幼少期まで日本で暮らし、その後、デンマークに移住し、長女を出産したのですが、出産からして、日本とデンマークは大きく違っていました。
日本では、妊娠中の検診時から、体重管理など、医師から細かく指導されますが、デンマークでは、基本的に、妊娠期間中の検診は、助産師が行い、全妊娠期間を通して、特に問題がなければ検診の回数は2,3回程度。そして、特別肥満体というわけでなければ、体重について、指導されることはありません。産後も、特別な問題がない限り、初産婦は1泊、経産婦に至っては、即日(!)退院と、これまた、かなりあっさりしているのです。

デンマークの出産は即日退院?

日本人とデンマーク人の体力差や、考え方、習慣の違いなどもあり、どちらがいいと一概には言えないでしょうが、第3子を出産した筆者にとっては、正直「大丈夫なの?!」と不安もあった即日退院も、実際に経験してみると、意外と「これはこれで、いい面もあるかも」という感想を持ったのです。

というのも、日本で、第2子を出産した時は、5日間の入院中、当時まだ2歳だった上の子のことが気になって仕方がなく(連日両親に産院まで連れてきてもらっていたのですが)、入院中の至れり尽くせりの環境にもかかわらず、家に帰りたいという気持ちも拭えなかったからです。

勿論日本では、産後の養生は大事だという昔ながらの教えもありますし、単に動けるから大丈夫、ということではないのかもしれませんが、無理のない範囲でできることをして、家で、家族みんなで赤ちゃんを迎え入れる、というデンマークのスタイルは、それはそれで、メリットもあるように思うのです。

デンマークの女性就業率

デンマークは男女均等の考えがとても浸透した社会で、女性の就業率も90%ほどともいわれ、共働きが一般的です。それに伴い、男性の育児休暇取得率も高く、夫婦で休暇を分担して取ることもごく普通なことです。

また、妊娠期間も含め、出産・育児休暇は通常一年間で、産後一年弱で職場復帰する人がほとんどで、そのため、保育園の確保も保障されています。筆者の住む自治体では、市内の希望する保育園を3つ選択し、通常その中のひとつに決定するのですが、筆者の場合、居住エリアがマンションが数多く立ち並ぶエリアで、なかなか空きがなく、希望する3つの園以外の園に決まり、娘は生後10か月からその園でお世話になったのですが、半年ほど経った時に、最寄りの園に空きが出て、転園することになりました。
このように、筆者のケースは稀で、通常は、希望する園のどれかに産後1年弱で入園できる場合がほとんどで、デンマークでは、働きたい人の働く権利が保障され、そのためのシステムがきちんと確立している社会と言えます。

デンマークの保育環境

デンマークに来たばかりの頃、電車などの公共の場で小さな子たちが騒いだりせず、大人しくしていることに驚いた覚えがあります。また、親が子供を叱る時も声を荒げたり、感情的に怒るところを見かけることはほとんどありません。
暮らしていくうちに、私なりに理由を考えたのですが、それは物心つく前の乳児期から保育所やダオプライと呼ばれる保育ママさんによる保育が一般的だからでは?という憶測に行き着きました。

赤ちゃんの頃から自分の親以外の人に日中躾けられることによって、子供なりに相手(保育士)は親とは違うということ、また、周りに複数の子供たち(園児)もいる環境では、自分のわがままを通すことはできないということを理解するのだと思います。その結果、社会性が身に付き、公共の場など、静かにするべき場所ではその場に応じた振る舞いができるようになるのだと思います。

また、保育士たちや、親たちが子供を叱る時は、決して感情的になって叱りつけるのではなく、冷静に、なぜそれがだめなのかを子供が理解できるまで、しっかりと目をみて、説明します。子供に言い分があるようなら、聞いてあげて、その上で、それのどこがいけないのかをこれまた冷静に説明して、子供が納得するまで、根気よく言って聞かせるのです。

この方法なら、時間はかかるかもしれませんが、子供は完全に納得し、なぜいけないのかを理解した上で、行動を改めます。自分の言い分も聞いてもらえるので、精神的にも落ち着きを取り戻せます。

こういった、デンマーク人の大人の「上から目線」ではない「平らな目線」は、日本人として、見習うべき点があると、いつも感心させられます。
デンマーク人にならって、筆者も、子供を叱るときは、怒るのではなく、諭す、子供になぜいけないのかを冷静に説明し、理解、納得させるように努めています。

ですから、子供が言うことを聞かない、しつけにイライラする、といった人は、ぜひ参考にしてみてください。冷静になることで、親も子も、必要以上に感情を高ぶらせることもなく、ストレスを軽減することができるはずです。

デンマークの勤務時間

デンマークでは、働き方も非常に柔軟で、フレックスタイムや早朝出勤などで、家族が揃う団らんの時間をできるだけ多く持てるように努めます。

例えば、子供の送迎も、一方が早朝に出勤して、もう一方が子供を朝送り、帰りは早く出勤した方がお迎えに行くという具合に、夫婦で分担するのが一般的です。

デンマークでは、子供のお迎え時間のピークはだいたい16時ごろで、金曜日はそれよりも更に早く、15時半ごろにお迎えに来る人が多いのですが、週末はできるだけ長く家族の時間を持ちたいというデンマーク人の考えが表れています。
ちなみに、学童保育は月曜から木曜までは17時まで、金曜は16時半までと日本と比べても早めに閉まります。

そうして、早く帰宅して、家族そろってとる夕飯も、通常18時から18時半ごろで、その後は、日本のように湯舟につかる習慣はないので、軽くシャワーをして、子供の年齢にもよりますが、未就学児なら19時から19時半、低学年なら20時までに寝かしつけるのが一般的で、その後は親が子供抜きでリラックスする時間を持ちます。
この数時間を持つことで、仕事に家事に育児に忙しいデンマークの親たちの精神的な余裕が生まれ、明日への活力と繋がるのです。

まとめ

デンマークの子育ての様子を早足でご紹介してきましたが、日本とは、社会的な環境も違いますし、デンマークのやり方をそのまま日本に持ち込むことはできないかもしれませんが、それでも、日々の子育てのヒントとなることはいろいろとあるように思います。

また、子育て自体、「正解」というものはなく、いろいろなやり方があってもよいのだと思います。迷ったり、つまづいたときには、他のやり方を模索してみる、そして、それでもだめならまた別の方法を試してみる、といった具合に、試行錯誤しながら、自分や子供に合ったやり方を少しずつ、見つけていけたらよいのではないでしょうか。

子育て経験16年を迎えた筆者がこれまでの経験から思うのは、長い子育て期間に息切れすることなく、楽しみながら続けていくには、心身共にゆとりが必要だということです。
渦中にいると永遠に続くように思えるのに、過ぎ去ってみると、あっという間で、楽しかった出来事をあれこれ懐かしく思い出すのが、子育て期間です。心身のゆとりを欠いて、心から楽しめないまま、子育てを終えてしまうのは、勿体ないこと。二度と戻ってこない、貴重な時間を、上手に息抜きしながら、楽しんで過ごしたいものですよね。

今回の記事が、子育て中の人たちにとって、何か少しでも参考になれたら、幸いです。

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