世界遺産にもなった群馬県富岡市の「富岡製糸場」を観光してみました。
行ってみるまで知らなかった歴史や養蚕・製糸業のこと、著者も長野県で育ち、気がついたら蚕をお蚕さんお蚕様と呼び、それが当たり前になっている理由。今回は、観光して知ったことを少しでも多くの人に知ってもらい、興味を持ってもらったらなと思い紹介します。
富岡製糸場とは
群馬県富岡市にある世界遺産の富岡製糸場は、明治維新から富国強兵や文明開化の近代化に進む時代の1872年(明治5年)にフランスの技術を導入し、日本で初めて作られた器械製糸の工場です。
設立の背景
群馬県富岡市に建設が選ばれた理由
製糸場の建設場所には、長野県、群馬県、埼玉県等の各地を視察し、富岡付近で養蚕業が盛んで、生糸の原料となる良質な繭が容易に確保できることや、工場建設に必要な土地が確保できること、製糸に必要な水や石炭などの資源が調達できること、外国人指導の工場建設に町民が同意してくれたことがあります。
富岡製糸場が世界遺産になった理由
2014年6月の第38回世界遺産委員会で富岡製糸場は、世界遺産の仲間入りをしました。委員会は「富岡製糸場はフランスの蚕糸業技術の日本への移転に成功した初期の事例であり、19世紀末期に養蚕・製糸業の革新に決定的な役割を果たすことで、日本が近代工業化世界に仲間入りする鍵となった」とコメントしており、富岡製糸場の日本と西洋の技術交流による技術革新は、高品質な絹の大量生産を可能にし、日本が近代化に向けての外貨獲得に富岡製糸場が大きく関わった功績を高く評価しました。
また、富岡製糸場の施設が創業当時から、ほぼ完全な状態で保存されていることも世界遺産になった理由の1つになります。
富岡製糸場内
正面入口
正面には「旧富岡製糸場」と書いてあり、富岡製糸場は時期によって名称が三井富岡製糸所(1893年)、原富岡製糸所(1902年)、片倉富岡製糸所(1939年 これ以降も度々名称変更)のように何度も変わりました。
1939年に富岡製糸場は片倉工業株式会社と合併したことにより、これ以降の操業は片倉工業株式会社が1987年操業が停止するまでおこない、操業停止後も年間1億円の維持費がかかってしまうにも関わらず、売却、貸出、取り壊しもせず、歴史が刻まれた工場の最期を見届けた企業としての思いで現状のまま保管し受け継いできました。
そこから片倉工業株式会社は2005年に富岡市に建造物を全て寄贈し、その年から富岡市で管理及び公開するようになり、世界遺産として登録されました。この「旧富岡製糸場」の名前には、色んな歴史があることを意味して旧がつけられています。
東置繭所入り口
置繭所は東と西にあり、どちらも木骨煉瓦造(もっこつれんがぞう)になっています。レンガという西洋の新しい技術を取り入れながら日本古来の木造をふんだんに使用した日本と西洋の建築技術を見事に融合された建物になっています。
東置繭所2階部分
東繭所は2階に上がることもでき、内部は外観と異なり、壁に煉瓦、天井に木造の「トラス構造」骨組みでとても美しく、ずっと眺めていたくなるような気持ちにさせられる空間になっていました。
昔は1階が事務所、作業場などとして使用し、2階は乾燥させた繭を貯蔵していました。広さがとても大きく、内側の端から端まで長さ104メートルもあり、2階には繭32トンが貯蔵されていたとも言われています。
中を歩いて見て回ると柱や壁に落書きや、皆で遊んだような形跡があり、どんな落書きがあるのか探し回るのも楽しくなります。
一部発見した落書きはこちらになります。鼠小僧は女工さんが書いたものでなぜ書かれたかは不明です。まさか本人もこの場所が世界遺産になって残されるとは思っていなかったでしょうね。
東置繭所1階と繰糸場
富岡市では、建設で選ばれた理由でも説明しましたが、養蚕が盛んで、5月の下旬から春蚕(はるご)、夏蚕(なつご)、初秋蚕(しょうしゅうさん)、晩秋蚕、晩々秋蚕の5回の養蚕をおこないます。 お蚕さんは桑の葉だけを食べて大きくなるため、桑の葉をこの地区ではたくさん育てています。富岡製糸場内でも桑畑があり、見ることができます。
お蚕さん?
説明を読んでいて蚕をお蚕さんと説明していて疑問に思われた方もいるかもしれませんが、地方によっては昔農家の収入源でもあった蚕を「お蚕様」と呼んで神聖視していたこともあり、今でも蚕と呼ばずにお蚕さん、お蚕様と呼んでいます。
お蚕さんは桑の葉を食べ大きくなると、体が透け始め、頭を上げて8の字を描くように振るようになります。
そうしたらお蚕さんを繭を作る箱に誘導し、3日かけて繭を作らせます。
繭ができると、農家さんから富岡製糸場に出荷され、製糸場で糸取りがされます。
糸取りは、繭を沸騰したお湯につけ、複数の繭、各1本ずつ糸を取り、束ねるようにしてモーターで糸をくくりとります。
説明している様子の写真を載せていますが、実際に見たほうがわかりやすいです。
世界最大規模を誇った繰糸所内の自動繰糸器です。昭和40年から50年内に設置され、自動化により生糸を作るスピードはとても早くなり、1987年の操業停止時まで使用されてきました。
こちらの写真は、その時の器械がそのままの状態で保管されている様子です。大事に保管されているため、公開されいる部分は少しだけになっていて、殆どの場所がビニールで覆われている状態になります。
東置繭所1階には、それ以外に富岡製糸場の歴史や、養蚕・製糸業の流れが分かる資料館があり、模型や、図、映像によって、富岡製糸場を更に詳しく知ることができます。
一つ一つしっかり見て回っていると、これだけで半日は過ぎてしまいます。
また、資料館近くにはお土産販売コーナもあり、生糸で作ったスカーフや、繭の商品、蚕の形をしたお菓子などのおみやげがありバリエーション豊富でした。
以下は展示されていた繭や生糸、生糸を使ったスカーフになります。とても良質で美しかったのでついパシャリと撮って紹介させてもらいました。
場内その他
その他にポール・ブリュナが生活していた首長館や、西置繭所、蚕が食べる桑畑、社宅などがあり、見るとこ満載で急いで回らないと日が暮れてしまいます。今回、著者も駆け足で回ったため(日が暮れてきたのと雨が降ってきたこともあり;)、全て紹介できていません。
富岡製糸場周辺
富岡製糸場の周辺は、世界遺産になって間もない状況でまだまだ見て回れるところがなく、著者も駐車場から富岡製糸場まで歩く途中、お店が少なかったため全く寄ることもなく到着してしまいました。
なので、少し離れてはしまいますが、近くの観光名所を紹介いたします。
群馬サファリパーク(車で14分 5.5km)
自分の車や、バスなどで園内を回れ、ガイドラジオで動物の案内や、餌やりツアーで動物に餌をあげて楽しむことが出来ます。座ってるだけで様々な動物を見ることができとてもオススメです。また、園内には遊園地も入っているため、午前中は富岡製糸場、午後は群馬サファリパークのスケジュールで観光すると一日充実して楽しむことができます。
◆オフィシャルサイト
http://www.safari.co.jp/
群馬県立自然史博物館(車で10分 3.7km)
この博物館は、恐竜がいた中生代のことや、人間の進化の歴史、群馬の自然環境、自然破壊の展示がされており、子供から大人までが楽しむことができる博物館です。
ティラノサウルスをはじめ様々な恐竜の展示がされているため、特にお子さんがいる観光にはオススメです。
◆オフィシャルサイト
http://www.gmnh.pref.gunma.jp/
一之宮貫前神社(車で10分 3.2km)
パワースポットでも有名な一之宮貴前神社は、地域の縁結びや、厄払いのご利益があり、無事カエルの交通安全祈願の金箔のカエルのお守りが有名な神社です。
荘厳な空気が漂う神社なので、神社巡りが好きな方は一度行ったほうが良いスポットになります。
◆オフィシャルサイト
http://www.nukisaki.or.jp/
まとめ
今回、富岡製糸場のほんの一部しか紹介できておりませんが、少しでも富岡製糸場を知って興味を持ってもらえたなら著者はとても嬉しく感じます。
富岡製糸場は、歴史を知るという意味でとても楽しいところで、一度は行ってみることをオススメできるところだと感じました。
また、車で行く際に、東京方面からですと午前中高速道路が混んでいることもあり、予定到着時刻よりも1〜2時間程早い行動をすることをオススメします。今回、平日に10時到着予定で著者も車で向かいましたが、渋滞にはまってしまい、到着は12時を超えてしまいました、、、
午前中に観光できていれば、もっと他の周辺スポットも観光し一日を充実させることができたかと思いますが、12時到着で富岡製糸場を細かく見て回ったら17時過ぎになってしまいましたので、どこも見ずに帰ることになりました。他周辺のスポットも行く予定で動くのであれば、スケジュールはしっかり考えた上で行くことをオススメします。
◆アクセス情報
名称:富岡製糸場(とみおかせいしじょう)
住所:群馬県富岡市富岡1−1
電話番号:0274-67-0075
オフィシャルサイト:http://www.tomioka-silk.jp/tomioka-silk-mill/