寒さが厳しくなったころ中国はお正月を迎えます。
中国では旧暦のカレンダーを使います。
旧暦のカレンダーではお正月は毎年違う日にやってきます。
本当に、そうなのかしら?と思っていましたが、都会も田舎もみな同じでした。
日本でお正月を迎えている1/1その頃。
中国の街は飾りつけも未だクリスマスのサンタクロースの顔や大きなクリスマスツリー。
いたるところで目にします。学校では授業をしたり大学では期末テストがあったり。
テレビもいつもと変わらない放送をしています。
少しお祭りがあるかなといった感じで普段通りの日常を過ごします。
1/1はお正月ではないのです。
旧暦のお正月近く、爆竹の音が各所各家からどんどん増えていきます。
特に旧暦のお正月、1週間前は爆竹の音が朝からすごくなり、神棚がある家は、今一度きれいにします。
そのあとまた旧暦の年末まで時々爆竹の音がするくらいです。爆竹の音がすると、そこら辺にいた猫や犬やニワトリたちはどこかにいなくなってしまいます。
年末年始は会社も学校も旧暦のカレンダー通りお休みです。
2018年は日本のカレンダーが2/16だとすると旧暦カレンダーは1/1で、かなり2018年はずれています。
テレビの放送も、年末年始の番組が多くなります。
CMも親戚に渡すためにこんなものがありますよという内容を流していたり、歌番組をつけている家をよく見かけました。
年末仕事がお休みになると、本格的にお正月の買い物や、大掃除をします。大きな換気扇の掃除、物置、車の隅々。
来客も毎日あるのでずっと掃除をしているわけにもいかず何日かに分けてやります。
窓ガラスや台所もぴかぴかです。部屋の壁もきれいにふき取ります。
家の中は土足なので、土がこびりついているところもきれいにふき取ります。
都心のマンションはどんどん水が使えるわけではありません。ある一定の量が決まっています。
しかし田舎は井戸からくみ上げているところから多いので水は使い放題でとても掃除しやすいです。
年始にかけ体も念入りにきれいにします。温泉に行く人もいれば自宅のシャワーなどで入念に洗う人、お風呂に入る人様々です。
この寒い時期に、家の風呂場が寒い場合、温かく入れる家にシャワーを借りに行く人もいます。風習があり1/1から1/3まではお風呂に入ってはいけず洗濯もしてはいけない為です。
そもそもお風呂やシャワーを積極的に浴びる習慣はあまりないですが、通販でお風呂が販売されていたり、すぐにお湯が出るよう切り替わるものなども沢山販売されています。
習慣はないですが設備を整えることは難しくないかもしれません。
若い男性は特に、髪が短いために寝癖が付きやすいため朝洗う人が多いようです。
食べ物は餃子を作ったり、肉まんを作る回数も増えます。
餃子は、ほとんどが水餃子です。もう慣れたもので、男の人も誰でも生地からこねての独特な餃子の形にみんなで仕上げます。
よくある中身は家で作られた、白菜の酢菜=ザワークラウトと豚肉のミンチです。あとは豚肉とにらの餃子、羊肉のミンチなどがポピュラーです。
皮の作り方はすいとんの生地の作り方と同じなので割と分厚いです。
餃子のタレは醤油に、にんにくを刻んだものが入っています。このたれは何につけてもあうようで割とどこの家庭も食卓に出ます。醤油の種類も豊富で調味料は簡単に手に入りやすいです。
中身の入っていない饅頭なども作ります。
12/29.12/30年末旧暦から人がぞろぞろ行き来します。
いよいよ、田舎出身の都会で働くサラリーマンたちが戻ってきたのです。
家族を連れて戻る人、単身の人、様々です。
みな年末のあいさつと久しぶりに顔を合わせてお話しをします。
親戚以外の人も律儀にあいさつしに来ます。親戚以外は挨拶をしに来てものの10分くらいで早々帰っていきます。
各家で夜ご飯を食べ終わったあと中国は麻雀を楽しみとする風習なので、20人くらい家に集まり夜中まで楽しみます。
もちろん、年末の番組を楽しみにしている人もいるのでそれを見ながらお菓子を食べたりする人も多くいます。
ここからいよいよ年末の雰囲気が出てきます。
12/31朝からまた爆竹が鳴ります。
そして日本のお盆で作るような、ナスやキュウリの動物を作る習慣と同じように食べ物でお供え物を創作したりお正月の飾りつけの準備をします。
飾りつけ自体はまだしません。
依然として、掃除をします。最後は庭です。広い中国の土地から舞い上がる、乾燥した砂を全部外に掃き出します。できるところまではきれいにします。
そのあと、わらを一本ずつ、家の門から玄関まで連ねて落とします。神様や仏さまが家まで通りやすくするためです。そんなことをしていると、もう夜です。
夜ご飯もいつもと変わらぬものを食べます。
いつもはみな10時か11時くらいにどの家も電気が消えます。しかし、11時くらいになるとあわただしくなりだします。
いよいよ0時近くになると、またいつもと変わらぬご飯を食べるのです。
はやばやと食べ終えようとすると、各家が爆竹を上げだします。
いよいよ0時です。ここからとてもあわただしくなります。
玄関で、アルミの手洗の中で火を燃やし、昼間作ったお供え物も出番です。
遠くの方でも花火大会のような大きさの花火が見えます。しかも莫大な数です。見とれていられません。
大きな机をもってきて玄関の入り口に入って正面に、神社のような大きなお供えをセットします。
お箸、小さなお酒を入れた器、小さなお皿に載せた食べ物、昼間作った鮮やかな食べ物のお供え物。家の敷地内にも小さな神棚を何個かセットします。
そして、花火を打ち上げます。
はるか遠くの家々からも数々の花火が見えます。音がとどろいています。
隣の家、前の家、自分の真上、花火を下から見たり横から見たり。ありとあらゆるところから花火を見るのです。
家が連なっているので本当に圧巻で映画でも見ているかのような風景です。
花火が終わると、次は入口に大きな赤い提灯を下げたり、電飾をともし完了です。
外にお供えしたお酒やお箸は早々に引き上げます。
次は、早速親戚の各家々に挨拶に行きます。その家の女性は家に残ります。
暗闇の中、もやっと光る各家々の赤い電飾や打ちあがる花火をわき目に家に向かいます。
目的の家にたどり着くと家の中まではいり「グオニェンハオ!(過年好)」と元気に挨拶して回ります。つい昼間まであっていた親戚たちです。
小さなバスケットにお菓子や果物を用意してくれています。そうしてその日は終わりです。
旧暦1/1、まず朝から電話が鳴ります。携帯電話で、親戚に挨拶から始まります。
血縁の遠い親戚などにも挨拶します。
朝ご飯も早々に、親戚が挨拶にきます。そのあと、ご飯を食べに行ったりします。
ごはんの際、高級なお酒もでてきます。白酒もお正月用に用意してあります。
食べ物は日頃でないものが少し出るくらいで、ほとんどは人が集まるときに作るいつもの味のご飯と盛り付けも変わりません。
ごはんを食べ終わると、近くの神社に札をもってお参りに行きます。
畑の真ん中にポツンとある、とっても小さな祠(ほこら)です。
高さは80センチくらい、横は1メートルないくらいです。
レンガ作りでよく見ると祠の壁面に色の違うレンガで組み替えて「王」と書いてあります。薄茶色の小さな祠です。
かがまないと作業できない小さな祠の入口に、セロテープで札を数枚貼って長いお香を何本か刺して帰ります。
家の周りの離れたところに数か所あるので、みな各家々朝からお参りに来ます。
子供を連れてくる人、いつも都会に住む田舎出身の単身者、いろいろな人が毎日ぽつんと立つその祠の前に人が集まります。
親戚とご飯を食べたり、挨拶などが終わると合間には麻雀始まります。夜まで続きます。麻雀ができる人はとても多いです。
そんな毎日が旧暦1/4まで続きます。
それが過ぎると、次は遠くに住む親戚や血縁関係はあるけれど少し遠い親戚に挨拶をしに行きます。時には都会に住む親戚の家に泊まったりもします。
旧暦1/8-1/10過ぎるといよいよみな「シャンバン(上班)」=仕事に行く この話題が多くなり仕事が始まりお正月も終わりです。田舎にいた、若者たちの姿は消え、みな都会に戻っていきます。
中国の田舎のお正月の特徴は、とにかく花火が圧巻で、麻雀をやる人が多く、お酒をよくのみ、食べ物はあまり日ごろとそこまで変わらず、親戚のつながりが広く、お供えが大きくて鮮やか、お休みが長い事です。