海外旅行中は、トラブル回避のためにも、礼儀正しくありたいものです。
ベトナムは魅力的な観光地ですが、人々の暮らし、マナーについては、あまり知られていません。
ベトナム人から見て快い振る舞いとは?どんなことに気をつければいいか?要点をまとめてご紹介します。
服装について
蒸し暑いお国柄ですが、アジア的「つつましさ」を大切にしましょう。
民族衣装のアオザイを思い浮かべて下さい。布地は薄いですが、肌の露出は少ないですよね。
特に女性は、Tシャツ・膝丈ズボン以上の露出は、はしたなく思われます。
(現地のガイドさん曰く。モデル体型の白人は、お人形のようで気にならないけれど、アジア人相手だとちょっと許せない……と感じるそうです)
また、ほんの五十年前まで戦場だった過去があります。
栄養失調状態が身近な生活が記憶に新しく、「アジア人の茶髪」は栄養失調のサインだと勘違いされることもあります。
都市部では、そういったファッションがあるという知識が浸透しつつありますが、田舎出身の方には驚かれるかも知れません。
女性の場合、お化粧が大変です。
蒸し暑い気候なので、屋外では汗が止まらないのです。
ベトナムの女性は、毎日お化粧する、という習慣が無く、老いも若いもノーメイクで暮らしています。
男性の皆様は、お相手の素っぴんを拝見するチャンスです。「そのままの君も素敵だと思うよ」と誘導してみましょう。
発言について
ベトナムは社会主義共和国。資本主義である日本からの渡航者には、公から付添人がつく場合があります。観光ガイドさんや、通訳者とは別の、お役人様です。
ありていに言って、政治的不和を生じさせないように、監視されます。
この「監視」は、もっぱら現地の人々を管理するためのです。
もしあなたが、お酒の勢いで政治経済の話題を持ち出し、うっかりベトナム人を相手に講釈してしまった場合には、あなたがその場を去った後、「話し相手だった方」が尋問されることになります。
くれぐれも、相手のために、話題は選びましょう。
また、五十年前まで、ベトナム人同士が戦う悲しい戦争がありました。
当時を知る人、兵役されていた人、親しい人を亡くした方がいらっしゃいます。戦後のお生まれでも、戦争に使用された枯葉剤の薬害に苦しんだ方もいます。
相手の気持ちを慮り、不用意な発言は控えましょう。
テーブルマナーについて
日本と同じ、お米をお箸で食べる文化の国。けれど、テーブルマナーは大きく違います。
- フォーなど麺類はすすらない。お箸でたくし込むように、ゆっくり食べる。
- お椀・お茶碗は原則持ち上げない。左手は添えるだけ。
- 汁物はレンゲですくって飲む。お椀や丼から直に飲まない。
以上、三点に気をつけましょう。
逆に、日本ではタブーとされる「ぶっかけ飯」は、マナー違反とされません。
テーブルにスープポッドがあるけど、汁椀が運ばれてこない……という時は、お茶碗にぶっかけて、レンゲで食べます。
ベトナムの食卓に欠かせないのが、パクチーなどの香草類。
日本でも見かけるもの、名前も分からないもの、等々ありますが、ベトナムでは「食べられない葉っぱ(特に生のもの)」を食卓に出す習慣はありません。
レモングラスなど一部のものは、香り付けのためのもので、硬くて食べられない、ということはありますが。
原則、生ものは避けるべきですが、香草類は抗菌・殺菌作用があるので、比較的安全です。ベトナム人にとっては、「香草類をトッピングしなきゃ、ベトナムの味じゃない!」という気持ちがあるので、できればチャレンジしたいところです。
香りの強いもの、苦味のあるものもあるので、苦手な方はご注意下さい。
またお店によっては、お箸ではなく、フォークとスプーンのみを出されることがあります。
これは東南アジア全般によくある食べ方で、右手にフォーク、左手にスプーンを構えます。
ご飯は、左手のスプーンですくい、右のフォークで寄せるようにアシスト。
お肉の塊など、一口で食べられないものは、スプーンをナイフ代わりにして切り分けます。
植民地経験を経て生まれた、新しい食べ方なので、あまり肩肘張らなくても大丈夫だと思います。
お手洗いについて
ベトナムは中国と同じく、トイレ事情はまだまだ発展途上です。
トイレットペーパーを流すと、詰まらせてしまうため、使用後は備え付けのゴミ箱へ入れましょう。
ホテルや空港は、綺麗なトイレなので油断しがちですが、うっかり便器に流さないようにお気を付け下さい。
予期せぬところでトイレを借りることになった場合は、少し大変です。
ベトナムでは、小さい方はシャワールームで済ませることも多いので、「トイレより、シャワールームの方が掃除が行き届いてるから……」と、気を利かせて、シャワールームに案内されることがあります。お尻は水で流し、トイレットペーパーは使いません。
大きい方をしたい場合は、お願いしてトイレを使わせてもらいましょう。
お昼寝タイムは大事
一年中暑いベトナムでは、正午~二時頃までお昼寝し、代わりに早朝や夜遅くに活動する、という習慣があります。
日本-ベトナム間の飛行機内でも、お昼寝の時間になれば消灯され、ベトナム人の方々はひと眠りします。日本人には退屈な時間になるかもしれませんが、夜間便と同じように、静かに過ごしましょう。
街中の雑貨店でも、お昼寝している間は開店休業状態となります。飲食店などは、普通にランチ営業しております。
また、外国人観光客の多いお店では、お昼寝タイムでも快く対応してくれます。
お買い物の注意点
2017年12月19日時点のレートで、10,000ドン=49.5505円。
ベトナムは、基本的に物価が低いのですが、現地の表示価格としては常に四桁以上なので、最初は戸惑うかも知れません。
口頭などで値段のやり取りをするとき、下三桁を省いて「forty」(=40,000)という言い方をされる事が多いので、ご留意下さい。
また、ベトナムの空港内では、アメリカドルを基準にやり取りします。
お水一本さえ、一ドルからのお値段になります。ドル-ドンレートも要チェックです。
日本人観光客を狙う犯罪
ベトナムの大多数の人々から見て、日本人は誰でもお金持ち。
悪いことを考える人は、どこにでも多少は居るものです。
「赤十字」「ユニセフ」等の団体名を出して、寄付金を要求したり、スリや置き引きの被害に遭うことがあります。
目的を隠して近づくために、最初は親しげに話しかけ、日本語を話してみせることも。
旅先で友達を作るのも、楽しみの内ですが、「貴重品から手を離さない」「怪しいと思ったら逃げる」などの自衛を心がけましょう。
まとめ
外国へ行くからには、郷へ入ったら郷に従え、です。
東南アジアはヨーロッパに比べて、色々と覚悟が必要になるシーンも多くなります。
ベトナムは日本とは違う習慣が多くありますが、その違いを楽しむのも海外旅行の醍醐味です。
特に、日本人がうっかりしがちなのが、「トイレットペーパーをつい流してしまう」「汁椀から直に飲んでしまう」「麺をすすってしまう」こと。
団体でのツアーでは、つい、外国に居るという感覚が薄れてしまいます。スリ対策も兼ねて、「人の目」に気を配ってお過ごしください。これからどんどん発展していくベトナム。ベトナムから日本へ、旅行に来る方も増えることでしょう。その時のためにも、ベトナムの方々から見て「礼儀正しい振る舞い」を心がけたいものですね。